クリニックブログ

インフルエンザの薬は何にすべきか?

2019年02月05日

今年はインフルエンザが大流行しています。インフルエンザにかかる患者さんの数は過去最高だとか。その流行も1月28日月曜日をピークに少し収束している感じがします。しかし予断はゆるされません。再びインフルエンザ患者さんが増える可能性もあります。 
 昨年2月に新しい抗インフルエンザ薬ゾフルーザが承認されました。この薬はタミフルなどの他のノイラミニダーゼ阻害薬に比し、ウイルスが人間の細胞内でウイルスは増えるが細胞から離れられず、結果的に体のなかでウイルスの増殖を防ぐのと違い、直接ウイルス増殖を抑制します。解熱するまでの時間は他の薬とかわりませんが、ウイルスが体内からいなくなる時間は半分ぐらいに短縮するといわれています。ただし、臨床実験では子供の9.7パーセントに耐性菌ができるといわれています。ゾフルーザによりウイルスの遺伝子が変異して薬が効かなくなるのです。お子様の場合1回で済む吸入するタイプのお薬は吸入するのが難しく、本当に吸えているかどうか怪しいことが多いのです。そこで、選択枝として今までは5日間朝晩で飲むタミフルを処方していたのですが、ゾフルーザであれば1回で確実に内服してもらうことができます。因みに10Kg以上あればゾフルーザは内服可能です。しかも早くインフルエンザが体内からいなくなるのですから、他人にうつしにくくなり、インフルエンザの流行も抑制できそうです。マスコミの報道もありかなりの数のゾフルーザが全国で処方され、一時は品薄になる勢いでした。当院でも処方した患者様の評判がよく、一晩で熱が下がったという驚きの感想もいただきました。ところが、最近耐性菌発生の報告が少しずつ聞かれるようになってきました。耐性菌ができると再び体内でウイルスが増殖します。すると最初よりも症状が強くなることが知られています。なので、当院では患者様の強いご希望がない限りお子様にはタミフルを、大人には一回吸入のイナビルかタミフルを処方するようにしています。タミフルにも薬剤耐性は報告されていますが、ここ数年の耐性菌の発生率は1から0パーセントというかなり低い割合です。ここ3年間は0パーセントです。しかも薬価は安いですし、さらに安いジェネリックも使えます。以前は10代の患者様に異常行動が出るのではないかと疑われ、厚生省の通達で10代の患者様に使用をしないようにしていました。しかし検証された結果タミフルの異常行動は否定され今シーズンからは解禁されています。異常行動はタミフルを服用しなかった患者さまからも発生し、所謂インフルエンザ脳症によるものだと結論がでました。ゾフルーザの総括は夏頃までにはでると思います。今は安全で効果の高い薬剤を使うべきではないかと思います。当院では患者様により良い治療を心がけています。